“Could” は「できる」の過去じゃない?

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日本語の「~できた」が意味するもの

よくできた」「いいディスカッションができた」「我が社のサービスの強みを説明できた」など、日本語では“~できた”という文型をよく使います。

できる”というと、英語ですぐに思い浮かぶのが「can」でしょう。アメリカのオバマ前大統領のキャッチフレーズ “Yes, We Can!” でも有名になりましたが、英語学習の初期で習う canは色々な場面で使う頻度の多い単語です。

さて、記事のタイトルとなっている『“Could”は「できる」の過去じゃない?』という点ですが、can という語の過去形は辞書を見ると確かに “could” と書いてあります。しかし、日本語の「~できた」という表現については、「できる」の過去形だからと “I could ~” のようには訳せないのです。なぜでしょうか?

それは、こうした文脈における日本語の「できた」という表現が、やり遂げたとか首尾よく物事が運んだというニュアンスであり、canのように可能かどうか、あるいは技術や能力があるかどうかという意味の「できる」ではないためです。

「~できた」をどうやって訳せばいい?

冒頭の例を使って、訳す際の注意点を見ていきましょう。

まず、「よくできた」という褒め言葉の典型的な英語フレーズは “Well done!” “You did it well!” “Good job!” などです。「できる= “You can do.”」だからと、それを過去形にして “You could do.” とは言いません。

いいディスカッションができた」という文だと、“We had a nice discussion.” のような表現が一般的でしょう。“We could do a nice discussion.” は間違いです。

我が社の強みを説明できた」という文の場合、“We managed to explain an advantage of our services in the market.” のように、“managed to ~”という語を使って「~できた」というニュアンスを表せます。これを “We could explain ~” と言うと、仮定の話になり全く意味が変わってしまいます。 (「~を(しようと思えば)説明できた=しなかった」という意)

このように、日本語の「~できた」が持っている “うまくいった” という意味を含めたい時は、“well” という語で「よかった」というニュアンスを出す、あるいは “manage to ~” (何とか~した) という表現でやり遂げたという点を強調するなどの方法があります。

一語ずつきっちり訳そうとするあまり不自然な英語になってしまわないよう、日本語の「~できた」という文を英語にする際には、まず できた” という部分を除いて考えてみましょう。冒頭の例も、「よく(うまく)やった」「いいディスカッションだった」「サービスの強みを説明した」と置き換えてみると、英語で自然な文が浮かびやすいはずです。

否定形の “couldn’t” は日本語と同じ

上の例でも述べたように “We could explain ~” を「~を説明できた」という意味で使うことはできませんが、否定形で “We couldn’t explain ~ (~を説明できなかった) という文であれば違和感はありません。これは、~できなかった」という言葉が英語でも日本語でも同じ意味=“うまくいかなかった” ということを指しているからです。

“could” が持っている色々な意味

英語話者の会話を聞いていると could という言葉自体はよく耳にします。一体どのような文脈で使われているのでしょうか?

表現をより丁寧にする時

Can を使って何かを依頼する文の場合、下のように過去形の “could” と置き換えることでより丁寧な表現となります。いつも can しか使っていないようなら、状況に合わせてぜひ could も使ってみてください。

Can I have ~?” (~をくれますか) → “Could I have ~?(~をもらえません)

Can you check that for me?” (調べてくれますか) → “Could you check that for me?(調べてもらえません)

可能性について述べる時

英語話者がよく使う表現の一つに “Could be.” というものがあります。これは会話の対象になっていることについて「そうかもね」とか「あり得るかも」といったニュアンスで使われます。また、“I could be wrong,(間違ってるかもしれないけど、) と前置きして何かを言う時にもよく使います。

軽く何かを提案する時

何かを提案する際に、“You can do ~” と言うと“当然できるよね”といった押しの強い印象を与えますが、“You could do ~” と過去形にすれば「~できるんじゃないですか」のように柔らかい表現になります。“Maybe” や “Perhaps” といった「もしかすると」という意味合いの言葉を前につけることで、さらに丁寧な響きになります。

この他にも、「~なら〇〇だったのに」という意味 (仮定法過去完了) を表すなど could を使った文型はまだまだありますが、まずは上に挙げたような文脈で使いこなせるようになるだけでも表現の幅はグッと広がるはずです。

「理解できた」→ “I could understand” は間違い

Boy's expression that he's got it.
by Hanna Kovalchuk on Pixabay

注意したいのが、言葉自体に「できる」という意味が含まれている場合です。

“understand” の使い方

例えば、understand という語はそれ自体が「理解できた」というニュアンスを持っています。そのため、誰かと会話をしている時の相づちとして I understand.” と言えば、can を使わなくても “相手の説明が分かった/理解できた” という意味になります。(ただし、高度な知識の理解について述べる場合や、人の感情を理解するという意味で使う場合can を含む方が適当)

授業でポイントを説明した後に

講師:Do you understand? (分かりましたか)

生徒:Yes, I understand. (はい、分かりました)

※ この場合日本語では通常過去形になるが、英語では現在形が自然

友人が珍しい言語を話せることに驚いている場面

A:What!? You understand Afrikaans? (マジで?アフリカーンス語できんの?)

B:Yeah, I can understand. I studied at a university in Cape Town. (うん、一応分かるよ。ケープタウンの大学行ってたから)

共通の友人について話している場面

友人:I heard that she went through a lot. (彼女、ホント大変だったらしいね)

自分:I can understand why she didn’t want to come with us. (どうして一緒に来たくなかったのか、彼女の気持ちもよく分かるよ)

“understood” を使う時

ちなみに、日本語では「分かりましたか (理解できましたか)?」「分かりました (理解できました)」と通常は過去形にしますが、英語の場合、現在している会話の内容に関連して「理解できた」という場合は過去形にする必要はありません。ただし、過去にさかのぼってその時点での理解がどうかということであれば、過去形で “I understood.” となります。

講師:Did you understand the last week’s class? (先週の授業は分かりましたか)

生徒:Yes, I understood. (はい、分かりました)

過去形の “understood” はそれ単体で使うと「了解です」といった意味にもなるので、その使い方で会話に出てくることもあります。

機器の扱い方を説明している場面

技術者:It’s very sensitive, so do not touch this part. (とても壊れやすいので、ここには触れないでください)

作業員:Understood. (了解です/分かりました)

まとめ

学校の授業では「Can の過去形は “could”」と習いますが、日本語と英語では「~できた」という表現の意味合いが異なることまで教えてくれるところはほとんどありません。文法だけに注意を向けると、間違ってはないのに不自然な言い回しになってしまうことがあります。

異文化コミュニケーションでは、言葉を一つ一つ訳すことよりも全体の意味を伝えることを意識すれば、英語に限らず語学の学習全般においてきっと役に立つはずです。少しずつでもいいので、ニュアンスを正確に伝えるための表現の幅を増やすよう頑張っていきましょう。

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